はじめに
初心者・ノーコード前提で、UptimeRobotを使って「VPSが落ちていないか」を見張りつつ、“VPSは生きているのにMT5やEAだけ止まる”可能性にも備える現実的なやり方をまとめました。ポイントはEAのタイプ(非スキャル or スキャル)で“監視の敏感さ”を調整することです。
まず結論(最小構成の指針)
非スキャル&ストップ注文/SLあり
- リスクは低め。 ストップ注文やストップロス(SL)は多くのブローカーでサーバー側に保存・執行されるため、端末(MT5)が落ちても注文は動きます。
※ただしトレーリングストップの発動と位置調整は端末側依存で例外。 - 監視は過敏にしすぎない方が運用が安定。
- UptimeRobot:Ping(5分)+必要ならRDPポート監視でOK。
- 補助としてMT5のプッシュ通知(取引通知)を入れておくと、「普段どおり約定している=生きている」の目安になります。
当サイトのEAは「非スキャル&ストップ注文/SLあり」となります。
スキャルピングEA(成行で秒〜数分勝負)やサーバー登録SLを置かないEA
- MT5/EAが停止中に相場が急変すると想定外のリスクが高い。
- 高感度監視を推奨。VPSの可用性に加えて、MT5/EAの“心拍(ハートビート)”まで把握できると安心。
- ノーコードで近づけるなら、UptimeRobot(短め間隔)+MT5の取引通知。
- さらに厳密にするなら、既製の「通知専用インジ/EA」を導入して定期通知(疑似ハートビート)を送らせると精度が上がります。
関連記事:EA注文タイプとリスク比較|成行・ストップ・SL/TPとVPS停止時の安全性
なぜ「VPSは生きていてもMT5/EAが止まる」のか
- Windowsの自動再起動/更新後にMT5が起動していない
- 回線の一時不調でMT5が未接続 → EAが売買しない
- ログイン情報・証明書の期限切れ、取引サーバ切替で未接続
- ディスク満杯/ログ肥大でMT5が不安定
- シンボル名変更・仕様変更などでEAが“待機状態”に
- メモリ不足・クラッシュなどアプリ側の不具合
対策のカギは、「VPSの生存」と「MT5/EAの稼働」を別レイヤーで見張ることです。
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UptimeRobotとは(概要)
UptimeRobotは、サーバーやWebサービスの稼働を自動チェックし、ダウン時に通知してくれる監視サービスです。無料プラン(5分間隔・最大50監視)があるため、まずは費用ゼロで始められます。監視タイプは初心者でも扱いやすく、EA/MT5のVPS運用と相性のよいPing監視、ポート監視(RDP:3389など)、HTTP(S)監視、キーワード監視、ハートビート、DNS監視などが選べます。通知先はメールのほか、Telegram / Slack / Discord / Webhook等に対応。まずはメールだけでシンプルに始め、必要に応じて拡張していくのがおすすめです。
このあとに紹介する「UptimeRobotでやること(ノーコード)」の手順に沿えば、VPSが落ちたら即通知という最低限の体制を無料で整えられます。
UptimeRobotでやること(ノーコード)
1) Ping監視(必須)
- 監視対象:VPSのグローバルIP
- 監視間隔:5分(無料プラン標準)
- 通知:2~3回連続失敗で通知にして誤報を減らす
2) ポート監視(任意)
- 監視対象:RDP 3389/TCP(外部から開けていないならスキップ)
- 目的:「接続できない」状態の早期検知
3) アラートの配信先
- メール:まずはこれで十分(見落としにくいアドレスを指定)
- Telegram/Slack:慣れたら追加して即時性を向上
- メンテ時間の抑止:メンテ中は通知しない設定を活用
これでVPSや回線のダウンは確実にキャッチできます。ただし、“MT5/EAだけ止まる”問題には追加の目印が必要です。
「MT5/EAの動き」をノーコードで感じ取る方法
A. MT5のプッシュ通知(スマホ連携)
- MT5のオプション → 通知でプッシュ通知をON、スマホアプリのMetaQuotes IDを入力しテスト送信
- 取引通知(発注・約定など)をON
- 普段どおり約定通知が来ていればEAは動いている目安。
いつもは毎日動くのに丸1日以上通知がゼロなら要確認
B. 既製の「通知専用インジ/EA」を使う(ノーコード導入)
- MQL5マーケット等で“定期通知” “心拍/ハートビート” “稼働監視”系を検索
- 出所の信頼性(レビュー・更新頻度)と、必要権限(外部送信/Telegram連携など)を確認
- 導入後は通知をUptimeRobotのメール/Telegramに集約して見落としを減らす
コーディングなしで完全な心拍を取るのは難しいですが、取引通知+既製ツールの組み合わせで実用十分に近づけます。
EAタイプ別:監視の“敏感さ”の目安
非スキャル&ストップ注文/SLあり
- UptimeRobot: Ping(5分)+(必要に応じて)RDPポート
- 通知閾値: 2~3回連続失敗で通知(過敏にしない)
- 補足: SL/指値・逆指値は多くのブローカーでサーバ側管理のため、端末停止中でも執行(ただしトレーリングストップは端末依存)
- MT5側:(必要に応じて)取引通知ON(“いつも通り動いているか”の緩い見張り)
スキャルピング(秒〜数分勝負)やサーバー登録SLを置かないEA
- UptimeRobot:Ping(可能なら短め間隔/有料プラン検討)+RDPポート
- 通知閾値:1~2回失敗で即通知(高感度)
- MT5側:取引通知ON + 既製の定期通知インジ/EA(“疑似ハートビート”)
- 運用:VPSの再起動手順や連絡フローを用意(夜間の対応方針を決めておく)
アラートが鳴ったら(簡易ランブック)
- PingもNG:VPS・回線の障害の可能性 → VPS事業者のステータス確認/サポート連絡
- PingはOKだが、取引通知が長時間ゼロ:MT5へリモート接続 → 接続状態(右下の回線表示)、口座ログイン、証拠金・維持率、市場休場、銘柄仕様変更を確認。
「表示 → ターミナル → Journal/Experts」でエラーを確認 - 復旧後:再発防止の1アクション(例:自動再起動の曜日固定、不要ログの削除、時刻同期の定期化)
トラブルを減らす習慣
- 週1メンテ枠(Windows Update・再起動を毎週同じ時間に)
- 時刻同期の徹底(時刻ズレは約定問題の種)
- ディスク空きは最低5〜10GBを確保(ログ肥大対策)
- MT5の自動更新タイミングはメンテ枠内に収める
当サイトのEAについて
当サイトのEAは基本的に「非スキャル&ストップ注文/SLあり」となります。すべてのポジションにSLが設定されますので、VPSやMT5が落ちた状態で相場が急変してもサーバー登録のSLで想定外の損失を避けることができます。
VPSの監視も最低限で良く、補助的にUptimeRobotを利用する程度で良いでしょう。
まとめ
- UptimeRobotでVPSの生死を見張り、MT5/EAの動きは取引通知+(必要に応じて)既製の定期通知インジ/EAで“感じ取る”。
- 非スキャル&ストップ注文/SLありなら、過敏にしすぎない設定が現実的。
- スキャルやストップロスなしのEAなら、通知感度を上げて“疑似ハートビート”を足し、早期異常検知を優先。
FAQ
- Q. 無料プラン(5分監視)でも十分ですか?
- A. 非スキャルEAなら多くのケースで十分です。スキャルEAは相場変動に敏感なため、間隔を短くしたい場合は有料プランや補助通知(取引通知・定期通知インジ)を検討してください。
- Q. Ping監視とRDPポート監視の違いは?
- A. Pingはサーバーの生存確認、RDPは「リモート接続できる状態か」の確認です。RDPを外部に開けていない環境ではポート監視はスキップして構いません。
- Q. MT5のプッシュ通知は何を設定すればよいですか?
- A. 「通知を有効化」してMetaQuotes IDを登録し、テスト送信で届くことを確認。あわせて「取引通知(発注・約定など)」をONにします。
- Q. ストップ注文やストップロスがあればMT5が落ちても大丈夫?
- A. 多くのブローカーでサーバー側に保存・執行されます。ただしトレーリングストップの発動や調整は端末(MT5)依存です。
- Q. スキャルEAでは何を追加すべき?
- A. UptimeRobotの監視間隔を短めにし、MT5の取引通知をONに。さらに既製の定期通知インジ/EAで「疑似ハートビート」を追加すると検知精度が上がります。
- Q. Pingが通らないのにEAは動いているようです。
- A. VPS側でICMP(Ping)が遮断されている場合があります。Ping結果だけで判断せず、取引通知や接続状況も併せて確認しましょう。
- Q. メンテナンス中は通知を止められますか?
- A. UptimeRobot側で保守時間帯を抑止する設定や一時停止が可能です。メンテ枠を週1で固定化すると運用が楽になります。
