プロフィットファクター(PF)徹底解説:基準値と落とし穴

導入。 PF(Profit Factor)は「Total Gross Profit ÷ Total Gross Loss」。値が1を超えるなら、その期間は純利益がプラス。便利な指標だが、PFだけではEAを判定できない。必ず勝率Reward:Risk(RR)drawdown(DD)と併読する。



PFの定義(式と意味)

PF = Total Gross Profit ÷ Total Gross Loss

勝率を p、平均利益を AvgWin、平均損失を AvgLoss とすると:

PF = (p × AvgWin) ÷ ((1 − p) × AvgLoss) = [p × RR] ÷ (1 − p)

注:RR(Reward:Risk) = Average win ÷ Average loss

同じ勝率なら、RRが大きい(損切りは早く、利益は伸ばす)ほどPFは上がり、RRが小さい(小利・大損)ほどPFは下がる。

おおよその基準(十分なサンプルを前提)

  • PF 1.1–1.3:控えめだが現実的。コスト込みなら投資対象になりうる。
  • PF 1.3–1.8:健全域。DDとのバランスを確認。
  • PF ≥ 2.0:強力。ただし取引数の少なさ・コスト未反映・リスキーなロジックを要確認。

簡単な例

勝率50%、AvgWin 100、AvgLoss 80 → PF = (0.5×100) ÷ (0.5×80) = 100/80 = 1.25
派手さはないが、エクイティを着実に積み上げる。


PFとdrawdown(DD):PF単独が危険な理由

一般に条件が同じなら、PFが高いほどDDは浅くなる傾向。ただし例外がある:

  • グリッド/マーチン系:小さな利確の積み上げでPFは高く見えるが、稀な大損がエクイティを叩き壊す。
  • イベントの肥尾リスク:ショック時の「ファットテール」損失は、発生するまでPFに現れにくい。

PFは必ずDDとセットで読む。最大DDが許容範囲内か、Recovery Factor(純利益 ÷ 最大DD)が十分か確認。詳細はドローダウン解説へ。


期間による不安定性(サンプル規模とレジーム)

  • サンプル不足はPFを歪める。バックテストでは同一ロジックで≥ 500取引、理想は≥ 1,000を目指す。
  • 市場レジーム(トレンド/レンジ、ボラ)でPFは変動。月次PFの推移ローリングウィンドウPFで安定性を点検。
  • 必ず手数料・スプレッド・スリッページを反映。未反映だとPFは過大評価される。

「異常に高い」PFの見つけ方(チェックリスト)

  • PF > 2.0かつ取引数 < 200 → 幸運や過学習の疑い。
  • 勝率80–95%だがRR < 1(小利・大損)→ グリッド/マーチン臭。最大損失連敗時のエクイティ落ち込みを確認。
  • コスト未反映(固定スプレッドのみ・スリッページ無し)→ 実運用でPFは急低下しがち。
  • 都合の良い期間抽出 → レジームバイアス。全期間・OOS・フォワードで再検証。

異常なProfit Factorの例

以下は、あるEAの2015–2020のバックテスト統計とエクイティ曲線。

MT5バックテスト統計 2020–2025:PFが2以上の例

Profit Factor:2.05 —— 非常に高い —— エクイティは見事に滑らか
勝ちトレード(総数比)= 79%。一見すると理想的に映る。

 

しかし次の図は、同じシステムを2015年始点(別スパン)で見たもの。序盤は好調だが、単発の大損で口座が飛ぶ

MT5バックテスト統計 2015–2025:短期間の高PFでも一撃で口座破綻
つまり、高PF=堅牢ではない。むしろ異常に高いPFは、リスキー/ミスリードな手法を疑うサイン。


PFを他指標と組み合わせる(PFを意思決定に落とし込む)

Expectancy(期待値/Expected Payoff)

E = Win rate × Avg win − Loss rate × Avg loss。まずEが正かを確認。詳細はexpectancy × RR解説

RR(Reward:Risk)

RR = Avg win ÷ Avg loss。可能なら≥ 1.5–2.0を狙う。同じ勝率ならRRが大きいほど安定しやすい。

PF

PF > 1は最低ライン。1.3–1.8が実用的な健全帯。PFが非常に高いときは取引数コスト最大損失をクロスチェック。

DD(maximum drawdown)

自分の許容範囲内かを確認。同じPFなら浅いDDの方が継続しやすい。回復に要る時間・リターンも考慮。

サンプルとフォワード

バックテストでは≥ 500–1,000取引(同一ロジック)を検証。フォワードが長いほど信頼度は高い


まとめ:今日やること

  • PFは結果比であって万能薬ではない。期待値RRDD取引数コスト現実性と併読。
  • 経験則としてPF 1.3–1.8は健全。PF ≥ 2.0なら、数字で理由を説明できること。
  • 異常に高い勝率 × 低RRは赤信号。最大損失連敗時の下落の深さで尾部リスクを点検。
  • 最終判断は自分のDD許容度とルール(デイリー/ウィークリー損失上限、停止・再開トリガー)に基づく。


FAQ

Profit Factor(PF)とは?どう計算しますか?

PFはTotal Gross Profit ÷ Total Gross Loss。同値として、勝率 p、平均利益 AvgWin、平均損失 AvgLoss のとき、PF = (p × AvgWin) ÷ ((1 − p) × AvgLoss)。1超なら測定期間の純利益はプラス。

EAにとって「良い」PFの目安は?

現実的な基準(サンプル十分・コスト現実的)としてはPF 1.3–1.8が健全域。PF ≥ 2.0は優秀に見えるが、取引数・コストモデル・尾部リスクの検証が必要。

PFが高くても大きなDDを隠すのはなぜ?

小利の積み上げと稀な大損(例:グリッド/マーチン)では、暴落が来るまでPFは高く見える。最大DDRecovery FactorをPF単独ではなく必ず確認。参照:ドローダウンガイド

PFを信頼するには何トレード必要?

PFは小標本で不安定。同一ロジックで≥ 500取引(理想は≥ 1,000)を目安に、複数の市況で検証し、フォワードで確認する。

スプレッド・手数料・スリッページはPFに影響しますか?

影響する。コストは総利益を削り実効損失を増やし、PFを低下させる。現実的なスプレッド/手数料/スリッページを必ず反映。未反映のPFは実運用で再現しにくい。

勝率80–95%でRRが低いなら、PFが高ければ安全?

必ずしも安全ではない。RR < 1の超高勝率は「小利・稀に大損」の兆候で、単発の損失で数か月分の利益が消えることがある。最大損失と連敗時のエクイティの落ち込みを確認。

なぜPFは期間や市場レジームで変わる?

PFはレジーム(トレンド/レンジ、ボラ)に敏感。ローリングウィンドウPF月次PFで安定性を評価し、全履歴・OOS・フォワードで再検証する。

PFを他の指標とどう組み合わせる?

まずExpectancy(E)が正で、Reward:Risk(RR)が成立しているか確認。そのうえでDD取引数コスト現実性と併読。出発点:expectancy × RRガイド

バックテストで異常に高いPFを見抜くには?

注意信号:PF > 2.0 かつ < 200取引、コスト未反映、恣意的な期間選択、またはRR < 1の超高勝率。最大損失、連敗時エクイティの軌跡、より広い期間での再検証をクロスチェック。

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