トレード規律はなぜ必須か|EAで“期待値”とルール遵守を仕組み化

「今日こそ勝てる気がする」——その気持ちが、いちばん危ない。 トレードは運試しではなく、確率のゲームです。感情の波に乗った一発は当たることもありますが、再現性はありません。長く勝つ人は、期待値のある戦略を見つけて、同じ手順を淡々と繰り返す仕組みを持っています。

本記事では、まず「なぜ規律が必要か」をやさしく解説し、感情が規律を壊す瞬間とその対策を具体化します。つぎに、仕組み化(チェックリスト・注文パターン・IFD-OCO・トレーリング)で“いつも同じ判断”を実現する方法を紹介。さらに、EA(自動売買)を使えば、規律の実行だけでなく、バックテストやフォワードテストで期待値そのものを検証・強化できることもお伝えします。

結論はシンプル。 感情ではなくルールで動く。ルールは数式と手順に落とす。EAで規律と期待値を二重に支える。——この3つをそろえれば、迷いは減り、利益は統計的に積み上がるようになります。今日から、運に頼らない一歩を踏み出しましょう。


なぜ規律が必要なのか

ここでは「トレード=確率のゲーム」という前提から、規律の意味をやさしく説明します。

トレードは確率のゲーム

どんな手法でも、必ず勝つトレードはありません。勝つ時も負ける時もあり、その積み重ねで最終結果が決まります。だから大切なのは、1回の勝ち負けではなく、同じ条件をくり返したときの平均的な結果です。

規律がなければ確率のゲームではなくただの感覚になってしまう

同じルール・同じ条件で打ち続けてはじめて、確率は働きます。逆に、その場の思いつきでエントリー条件やロットを変えると、結果はバラバラになり、確率のゲームではなく行き当たりばったりになります。規律は、

  • いつ・何を・どうやって取引するか(ルール)
  • どれだけのリスクで行うか(ロット計算)
  • どこで終わらせるか(利確・損切り)

毎回同じように実行するための仕組みです。

期待値のあるトレードを繰り返すことで利益が積み重なる

手法の良し悪しは期待値(E)で考えます。シンプルに書くと、

E = 勝率 × 平均利益 − 敗率 × 平均損失

Eがプラスなら、同じルールで回数を重ねるほど、資金は伸びやすくなります。たとえば、

  • 勝率 45%
  • 平均利益 2R(損失1回分の2倍)
  • 平均損失 1R

この場合の期待値は 0.45×2 − 0.55×1 = 0.35 とプラス。ここに「1回の損失=口座の1%」などの固定リスクを組み合わせ、同じやり方を淡々と繰り返すことで、利益が少しずつ積み上がります。

リスクリワード1対2の距離イメージ(損切20pips・利確40pips)
R 1:2=損切幅の2倍で利確目標

感覚にたよったトレードがいかに危ういか(ただの運では期待値はない)

「今日は勝てそう」「なんとなくいける」— このような感覚まかせの判断は、期待値の管理ができません。勝つ時もありますが、それは再現できない“当たり”にすぎず、長期では平均に押し戻されます。具体的には、

  • 根拠なくロットを上げ下げ → 平均損失が肥大しEが悪化
  • ルール外のエントリー → 勝率・RR(利益/損失比)が不安定化
  • その場しのぎの利確・損切り → 平均利益・平均損失の想定が崩れる

運まかせには「期待値」がありません。小さな幸運が続くことはあっても、仕組みとしてプラスを生み出す力がないため、時間とともに成績は不安定になります。だからこそ、ルール化 → 実行をブレなく繰り返すことが最優先です。

関連記事:勝率を追いかけるのはやめよう:期待値とリスクリワード(RR) / トレードの期待値とは? / トレードは確率論で考えるべき


感情によってトレード規律は崩壊する

トレードは「やるべきことを同じように繰り返す」ゲームです。ところが、恐怖・欲・焦り・後悔といった感情が入ると、決めたルールが守れなくなります。ここでは、感情が規律を壊す流れと、その対策をやさしく整理します。

感情が規律を壊す典型パターン

トレード感情のイラスト(リベンジ・強欲・恐怖・FOMO・過信)

  • 取り返したい(リベンジ):連敗後にロットを上げる/条件が甘いままエントリーを増やす。
  • もっと取りたい(強欲):利確ルールを無視して引っ張り、結局建値付近で手仕舞い。
  • 怖い(恐怖):条件が揃っているのに見送り、後から飛び乗って高値づかみ。
  • 置いていかれたくない(FOMO):指標直前・直後やボラ急上昇時にルール外の成行参戦。
  • 過信(エゴ):連勝後に「今日は自分が強い」と感じ、ロットや回数を勝手に増やす。

感情を動かす“トリガー”を知る

感情は突然ではなく、きっかけから始まります。自分のトリガーを把握しましょう。

  • 経済指標・要人発言での急変動
  • 直前の損益(直近の大勝・大負け)
  • チャートの急騰・急落(置いていかれる感)
  • 睡眠不足・体調不良・時間切れの焦り

感情の“前兆”セルフチェック(30秒)

トレード前・最中に、下の3つのうち2つ以上当てはまったら一旦ストップ

  • 手の動きが速い/呼吸が浅い(焦り)
  • ルールを読み返さずに発注しようとしている(雑さ)
  • 「取り返す」「一発で決める」という言葉が頭に浮かぶ(リベンジ思考)

感情に左右されないトレード術|規律と仕組み化(自動化・EA活用まで)


規律は仕組み化で守る

感情は気合いでは乗り切れません。 だからこそ、規律は「意思の力」でなく仕組みで守ります。毎回同じ手順で、同じ判断ができるように道筋を作っておきましょう。

仕組み化の考え方(シンプルに)

やることは3つだけです。事前に決める → 発注前に確認 → 事後に記録。これを毎回くり返します。

① 事前に決める(やる/やらないの線引き)

  • 銘柄・時間帯:例)EURUSD/ロンドン前半2時間のみ
  • 禁止時間:重要指標の前後30分は取引しない
  • セットアップ条件:例)20MA上向き+押し目後の高値更新で買い
  • リスク固定:1回の損失=口座の1%
  • 終了条件:最大3トレード、連敗3で終了

② 発注前に確認(30秒チェック)

ボタンを押す前に、次の3点がすべて「はい」なら発注します。

  • 条件一致:エントリー条件に合っている
  • サイズ適正:ロットは1%ルール内
  • 出口設定:損切・利確が数値で入っている(指値・逆指値)

③ 事後に記録(守れたかだけ書く)

  • 遵守率:「ルールを守った回数 ÷ 総トレード数」を日別で計算
  • 目安:遵守率90%以上を維持。85%未満の翌営業日はロット半分

場中のガードレール(物理的に外せない壁)

  • 時間の枠:取引は決めた2時間だけ。延長しない
  • ロット固定:発注パネルのロットを固定値+ロック(手入力で増やせない設定)
  • 成行の乱用防止:必ず逆指値で損切、指値で一部利確を先に置く
  • ニュース回避:カレンダーを開いたままにして、回避時間は発注ボタンを押さない

違反が起きたら(罰ではなく手順)

  1. 即停止:その日は終了(再開は翌営業日)
  2. 一行メモ:「何がきっかけで何を破ったか」を1行だけ記録
  3. 対策を1つ追加:例)「急騰直後は次の確定足まで待つ」をチェックリストに追記
  4. 復帰条件:翌営業日はロット50%、遵守率が3日連続90%以上で通常に戻す

EA・ツールで“自動的に守らせる”

  • EA化して時間帯・条件・損切/利確を機械に任せる
  • アラート(セットアップ成立、指標前警告)を設定
  • ジャーナル(自動記録)で遵守率を可視化

まとめ:規律は気合いでは続きません。前もって決める・毎回確認する・あとで記録するの3ステップを仕組み化し、必要ならEAやツールに任せましょう。これだけで、感情に揺れても同じ打ち手を続けられます。


規律を守るために「注文パターン」を使う

その場の気分でボタンを押さないために、注文の型をあらかじめ決めておく方法です。毎回同じ型で発注すれば、感情に流されにくくなります。

IFD-OCOとは(かんたん解説)

IFDは「もし約定したら(If Done)」の意味。まず指値/逆指値でエントリー注文を置き、約定したら自動で次の注文を出します。
OCOは「どちらかが成立したらもう一方を取り消す(One Cancels the Other)」の意味。利益確定(TP)損切り(SL)を同時に置き、どちらかが先に成立したらもう片方が消えます。
IFD-OCOはこれらを組み合わせた型で、エントリー→(自動で)TPとSLを同時セットまでをひとつの流れにします。

ストップオーダー中心にして「成行の衝動」を避ける

上抜け買い・下抜け売りのように、価格が来たら入る逆指値(ストップ)注文を基本にしましょう。
成行はどうしても「今すぐ!」という感情が入ります。ストップ注文なら、条件が揃った時だけ機械的に約定します。飛び乗り・追っかけを減らせます。

MT5 ペンディングオーダー送信画面(買いストップにSLとTPを設定)
MT5 ペンディングオーダー送信画面(買いストップにSLとTPを設定)

必ずTP/SLを同時に置く(迷いを封じる)

IFD-OCOを使えば、エントリーと同時にTPとSLが自動で置かれるので、

  • 損失回避の心理で損切りを遅らせる
  • 怖さで早すぎる利確をしてしまう

といったクセを抑えられます。出口を事前に数値で決めることが、規律のコアです。

MT5チャート画面-買いストップオーダー・SL・TPのそれぞれのライン
チャート上に買い・ストップロス・テイクプロフィットのそれぞれの価格にラインが表示される

トレーリングストップで「勝ちを伸ばす」を自動化

利が乗ったら、価格の動きに合わせて損切りラインを切り上げる(切り下げる)のがトレーリングストップです。
これにより、

  • 利益確定を早めてしまう心理を抑える
  • 相場が伸びた分だけ自動で利幅を広げる

ことができます。結論:「利を伸ばし、損を限定」を仕組みで実行できます。

トレーリングストップが価格の上昇に合わせて損切ラインを切り上げるイメージ
トレーリングストップは価格の上昇に合わせて損切ラインを切り上げる

実用ミニ手順(例)

  1. 逆指値でエントリー価格を設定(例:直近高値の上に買いストップ)。
  2. IFD-OCOで同時にTPとSLを設定(RR=1:2など数値で)。
  3. 含み益が一定pips進むたびに、トレーリングを有効化(またはEAで自動)。

まとめ:注文パターン(IFD-OCO+ストップ中心+TP/SL+トレーリング)を使えば、入口も出口も“先に決めておく”ことができます。これが、感情に左右されない同じ打ち手を続けるいちばん簡単な方法です。

関連記事:EA注文タイプとリスク比較|成行・ストップ・SL/TPとVPS停止時の安全性


EA(自動売買)は「規律」と「期待値」の両方で有利

EA(Expert Advisor)を代表とする自動売買プログラムは、ただ「自動で売買してくれる便利なツール」ではありません。規律をブレずに守る力と、そもそも勝てるロジックを作る力の両方で、人間の裁量トレードより有利になりやすい仕組みです。
詳しくは、関連記事:EAとは?FX自動売買の仕組みと選び方を徹底解説|EA完全ガイドを確認してください。

EAは感情に流されず、同じルールを正確に実行できる

人間のトレードは、どうしても感情に左右されます。怖くてエントリーできない、イライラして無理に取り返そうとする、含み益をすぐ確定したくなる、損切りを遅らせてしまう……こういう行動は、ルールから外れた「不規律な行動」です。

EAはこれをしません。あらかじめ決めた条件だけで機械的にエントリー・決済します。

  • 「この形になったら買う」「この形になったら売る」を毎回同じように実行する
  • ロットサイズも数式どおりで固定される(1回の損失=口座の1%など)
  • 利確・損切りも自動で発注される(IFD-OCOのような考え方が標準で入っている状態)
  • 連敗してもロットを勝手に2倍にしないし、連勝しても調子に乗らない

つまりEAは、これまで説明してきた「規律を守るための仕組み」を、24時間ずっと同じ精度で続けられる装置です。人間の弱点である「そのときの気分」「一瞬の迷い」が入りません。

これは特に初心者にとって大きいメリットです。なぜなら、初心者が最初につまずくのは「手法そのもの」よりも、手法を守り続けられないことだからです。

EAの取引履歴チャート(感情に左右されず頻繁にストップロスを実行し、トレンドに追従することで利益を大きく伸ばす)
EAの取引履歴チャート(感情に左右されず頻繁にストップロスを実行し、トレンドに追従することで利益を大きく伸ばす)

ただし「規律を守るだけ」では勝てない

ここがとても大事なポイントです。

いくら完璧にルールどおり取引しても、そのルール自体に期待値がなければ、ただ損を積み上げるだけです。

たとえば勝率50%で、負けるときは-30pips、勝つときは+15pipsしか取れないなら、いくらルールを守っても残高は右肩下がりになります。これは数学的に不利(期待値がマイナス)なゲームです。

つまり、規律は「いい戦略を守るための道具」です。悪い戦略を丁寧に回しても結果は悪いままです。

EAは「期待値のある戦略を作る・確かめる」にも向いている

ここで、EAがもうひとつ強い理由が出てきます。EAは「ルールの実行」だけではなく、ルールそのものの良し悪し(期待値があるか)を事前に検証できるという点でも、裁量より圧倒的に有利です。

1. バックテスト(過去データでの検証)

EAのロジックを過去チャートに当てはめて、「もしこのルールで過去○年トレードしていたら、どうなっていたか?」を数字で見ることができます。

  • 勝率は何%くらいだったか
  • 平均利益と平均損失はどれくらいだったか
  • 最大ドローダウン(どれだけ資金が落ち込んだか)はどのくらいだったか
  • 資金カーブは右肩上がりか、それともギザギザで不安定か

これによって、「そもそもこのルールに期待値があるのか?」(=長く続ければプラスになりやすいのか?)を前もって判断できます。

MT5バックテストレポート 2005年1月~2025年10月 (Golden Alpaca Robot)
MT5バックテストレポート 過去20年での情報を確認  2005年1月~2025年10月 (Golden Alpaca Robot)

2. フォワードテスト(実際の相場での検証)

バックテストはあくまで「過去」での話なので、次にやるのがフォワードテストです。これは、小さいロットやデモ口座で、同じロジックを現在のリアルタイム相場で動かして、ちゃんと同じように機能するか確認する方法です。

  • バックテストと同じような売買をしているか?
  • スプレッドやスリッページ(約定のズレ)を入れてもまだプラスなのか?
  • 想定していなかった負け方をしていないか?

これを数週間~数ヶ月ちゃんと観察することで、「机上の空論じゃないか?」をチェックできます。

Myfxbook フォワードテストの利益グラフと統計画面 (Gold Crab Robot)
Myfxbookで公開されたフォワードテストの利益グラフと統計画面 (Gold Crab Robot)

3. 条件を変えても崩れないかチェックできる

EAなら、時間帯をずらしたり、損切り幅や利確幅を少し変えたり、通貨ペアを変えたりしても、一気に検証できます。

これは戦略の強さ(頑健性)を見るのに役立ちます。「すごく細かい条件じゃないと勝てない戦略」は、たまたまハマっているだけの可能性が高いからです。

逆に、「多少設定を変えてもまだプラスでいられる戦略」は、より本物に近いと言えます。これは裁量では体感しにくい部分です。EAだと数値で比較できます。

裁量トレードと比べたときのEAのメリットまとめ

  • 実行の安定性:EAは24時間、同じロジックで淡々と動く。人間のように気分で変わらない。
  • 検証の透明性:「このルールで何回トレードして、どれくらい勝って、どれくらい負けて、最悪どこまで落ちたか」を数字で見える。
  • 改善サイクルが速い:ロジックを少し直してまたテスト、を何度も回せる。試行回数がとにかく多い。
  • 感情の管理コストが小さい:人間側が悩む時間が減るので、メンタルを消耗しにくい。

関連記事:裁量トレードとシステムトレードの違い / FXのサインツールは本当に勝てる? / インジケータだけでは勝てない理由とEA自動化

まとめ

EAは「規律を守る仕組み」として非常に優秀です。エントリー条件、ロットサイズ、利確・損切り、停止条件まで、すべて機械的に実行してくれます。感情に左右されません。

さらにもう一歩進むと、EAは「そもそもその戦略は勝てるのか?」という部分まで数値でチェックできます。過去データのバックテストや、少額のフォワードテストで、期待値のある(=長く続ければプラスに寄りやすい)ロジックかどうかを確認できます。

つまりEAは、①良い戦略を作る段階②良い戦略をブレずに運用する段階の両方で役に立ちます。これは裁量トレードより明確なアドバンテージです。

逆に言うと、期待値のない戦略をEAで回しても、それは「きれいな形で資金を減らす機械」になるだけです。大事なのは、エッジのあるロジック × 規律ある運用のセットです。EAはその2つをそろえるための強い武器になります。


規律を守ったトレードの例(やさしい解説つき)

ここでは、規律あるトレードの具体的なサンプルを示します。大切なのは、やる条件・やらない条件・サイズ計算・出口(利確/損切)を最初に決めて、そのとおりに繰り返すことです。


まずは用語ミニ解説

  • pips(ピップス):為替の最小単位(EURUSDなら小数点以下4桁目)。例:1.1000→1.1010 は10pips上昇。
  • R(アール):1回の損失幅を1Rとする考え方。損切りまで20pipsなら1R=20pips。
  • RR 1:2:リスクリワード比。負け幅1に対して勝ち幅2を狙うという意味。損切り20pipsなら利確目標40pips。
  • 建値(たてね):自分が入った価格。建値ストップは「損もしない、得もしない」位置に損切りを移すこと。
  • “指標直後は2本確定”:重要指標の直後は値動きが荒いので、ローソク足2本(2回確定)を待ってから判断するルール。
  • IFD-OCO:「エントリーが約定したら(IFD)利確と損切りの2つの注文(OCO)を同時に置く」型。入口も出口も自動で決め打ちできます。

共通ルール(全シナリオで固定)

  • 銘柄・時間帯:EURUSD/ロンドン時間の前半2時間のみ
  • ニュース回避:重要指標の前後30分は取引しない(直後は「2本確定」まで見送り)
  • リスク固定:1回の許容損失=口座残高の1%
  • 発注方式:IFD-OCO(エントリー成立と同時にTP/SLを自動セット)
  • 上限管理:最大3トレード/連敗3で当日終了
  • ロット計算式:ロット = 許容損失 ÷(ストップ幅 × 1pips価値)
    目安:EURUSDで1ロットの1pips価値 ≒ $10(0.1ロット=$1、0.01ロット=$0.1)

例)口座残高$5,000 → 許容損失$50(1%)。ストップ幅25pipsなら、ロット=50 ÷(25×10)= 0.20ロット


シナリオA:順張りの基本形(押し目ブレイク)

  • ねらい:上昇トレンドで、押し目後に直近高値を抜けたら買う。
  • 条件:20MAが上向き/終値が20MAより上/直近レジスタンスを終値で上抜け。
  • 入る位置:直近高値の少し上に買いストップ(逆指値)。条件が満たされた時だけ機械的に約定。
  • 損切り(SL):直近スイング安値の少し下+スプレッド(ダマシに備える)。
  • 利確(TP):RR 1:2半分利食い→残りはトレーリング(直近安値割れで手仕舞い)。
    ※RR 1:2 = 損切り幅の2倍で利確目標。例:SL 24pips → TP 48pips。
  • 見送り:前日レンジが極端に狭い(日足ATRの50%未満)/直後に重要指標/スプレッド拡大。

数値例(口座$5,000・許容損失$50)
直近高値1.1000、押し目安値1.0980、スプレッド2pips(0.0002)。
エントリー:1.1002(買いストップ)/ストップ:1.0978(幅24pips)。
ロット:50 ÷ (24×10) ≈ 0.21ロット
TP(RR 1:2):48pips上の1.1050付近で半分利確→残りはトレール。

OK:条件100%一致でIFD-OCO発注→1:2到達で半分利確→残りトレール。
NG:「上がりそう」で成行買い/半利確前に不安で全部決済。


シナリオB:レンジ上限ブレイク(時間帯の力を使う)

  • ねらい:ロンドン前半は出来高が増えやすい。アジア時間の高値(レンジ上限)を抜けたら続伸狙い。
  • 条件:アジア時間の高値・安値を線で可視化。ロンドン前半で上抜け狙い。
  • 入る位置:レンジ上限の数pips上に買いストップ
  • 損切り:ブレイク失敗に備えて、ボックス内へ数pips戻った位置
  • 利確:まずはRR 1:1.5〜1:2。伸びる日はトレーリングで追いかける。
  • 見送り:直後に高インパクト指標/上位足が強い下降トレンド。

数値例(口座$3,000・許容損失$30)
アジア高値1.0880。エントリー1.0883(買いストップ)/ストップ1.0870(13pips)。
ロット:30 ÷ (13×10) ≈ 0.23ロット
TP(RR 1:1.8):約24pips上の1.0907付近で利確(全利確でも、半利確+トレールでも可)。

OK:時間帯・指標回避・ストップ位置が妥当。
NG:ブレイクを見てから成行で飛び乗り(スリッページ拡大)/指標2分前に仕掛ける。


シナリオC:分割利確+建値ストップ(心理を軽くする)

  • ねらい:前半でリスクを早めに減らし、後半は「放っておく」だけで伸ばす。
  • 条件:上昇トレンド/20MAより上で反発。
  • 入る位置:反発を確認した次の足の高値上に買いストップ(確定足を待つ)。
  • 損切り:反発起点の安値より少し下。
  • 利確の流れ:
    1. 1段目:RR 1:1で半分利確。
    2. 建値移動:損切りを建値まで引き上げ(負けがゼロに近づく)。
    3. 2段目:RR 1:2で残り利確、またはトレーリングで伸ばす。

数値例(口座$10,000・許容損失$100)
エントリー1.0950/ストップ1.0935(15pips)。
ロット:100 ÷ (15×10) ≈ 0.66ロット
1段目TP(RR 1:1):1.0965で半分利確→ストップを1.0950(建値)へ。
2段目:1.0980(RR 1:2)で利確 or 直近安値を割るまでトレーリング。

OK:半利確でメンタルを軽くし、建値で損失を抑え、残りを落ち着いて伸ばす。
NG:建値移動を忘れて含み益が消える/1段目到達前に怖くなって全決済。


シナリオD:“やらない”を守る(逆張り衝動の封じ方)

  • 目的:逆張りの衝動をルールで止める
  • 見送りルール例:
    • 重要指標の直後は2本確定まで見送り(ノイズを避ける)。
    • スプレッドが通常の1.5倍以上に拡大している時は触らない。
    • 日足が大陽線/大陰線の直後など、ボラが異常な日はパス。

現実例:雇用統計直後に1.5円急騰。逆張りショートしたくなるが、「2本確定」まで待つルールでノートレード。結果、往復ビンタを回避。


NGパターン(絶対やらない)

  • 連勝後に感覚でロット2倍
  • 損切りを後ろへズラす(計算を無効化)。
  • 指標直前に「いけそう」で成行飛び込み。
  • 半利確・建値移動を省略(手順を短縮しない)。

発注前30秒チェック

  • 時間帯はロンドン前半? 指標30分ルール&2本確定ルールは守っている?
  • セットアップは条件100%一致?(一部一致は見送り)
  • ロットは1%ルールで計算済み?(式で出した数値を入力)
  • IFD-OCOでTP/SLは入っている?
  • 必要ならトレーリングを設定した?

ジャーナル記入例(“守れたか”だけ簡潔に)

日付:2025-11-05
時間帯:16:00-18:00(JST)
シナリオ:A(押し目ブレイク)
条件一致:はい(20MA上向き/終値>20MA/レジ上抜け確認)
サイズ:0.21lot($50 / 24pips / $10)
結果:+26pips(1:2で半利確→残りトレール決済)
遵守:5/5(100%)
メモ:指標直後は「2本確定」まで待機→ノイズ回避できた

まとめ:難しいことはしません。①条件を決める ②サイズを式で決める ③出口を先に置く——この3つを毎回同じように実行します。
「RR 1:2」「2本確定」のような合言葉は、“いつも同じ判断をするための目印”です。迷いを減らし、同じ打ち手を重ねましょう。

ただし、ここで示す例はあくまで型のサンプルであり、これらの戦略に優位性があるかどうかは分かりません。いくらトレードルールを作り上げたところで、そのルールに優位性があるかどうか検証しなければ意味はないのです。EAはバックテストやフォワードテストで検証できるという点で有利であることが分かります。


よくある質問(FAQ)

Q. EA(自動売買)なら規律は不要ですか?
A. いいえ。EAは実行面の規律を自動化しますが、停止・再開・縮小の判断パラメータ変更頻度ニュース回避などは人間のルールと監督が必要です。
Q. 期待値(E)とは? 勝てる戦略の条件は何ですか?
A. 期待値は平均的な1回あたりの利益で、式は E = 勝率 × 平均利益 − 敗率 × 平均損失。Eがプラスで、十分な試行回数でも維持できれば「勝てる」可能性が高いです。
Q. バックテストとフォワードテスト、どちらが大事?
A. 両方必要です。バックテストで仮説を絞り込み、フォワード(少額/デモ)で再現性を確認します。IS/OOSの分離で過剰最適化を避けましょう。
Q. 検証期間はどれくらい必要? 相場局面は何を含めるべき?
A. 上昇・下降・レンジを含む数年分が基本。OOS期間も確保し、必要に応じてモンテカルロで頑健性を確認します。
Q. 連敗が続いたらどうする?
A. 事前ルールに従い連敗3で当日停止。翌営業日に再開し、遵守率とセットアップ一致率を日誌で点検。遵守率が85%未満なら一時的にロット半分を目安に。
Q. ロットはどう決める? 増やす基準は?
A. 感覚ではなく式で決定ロット=許容損失(口座の1%等)÷〔ストップ幅×1pips価値〕。増やすのは四半期など節目で資金増に応じて再計算します。
Q. RR 1:2・建値ストップ・トレーリングはなぜ有効?
A. 損小利大を仕組み化できるから。RR 1:2で平均利益を伸ばし、建値ストップで早期にリスク低減、トレーリングで利を自動的に引っ張れます。
Q. IFD-OCOやストップ注文を使うメリットは?
A. 入口と出口を先に数値で固定でき、成行の衝動を防げます。IFD-OCOは約定と同時にTP/SLをセット、ストップ中心なら条件が来た時だけ機械的に約定します。
Q. EAと裁量はどちらが有利? 初心者は何から始めるべき?
A. 目的次第ですが、EAは規律の自動化検証の透明性で有利になりやすいです。初心者は小ロットのEAフォワードから始め、規律と記録を体で覚えるのも効果的。
Q. どんな戦略でもEA化すれば勝てますか? コストは無視できますか?
A. いいえ。期待値のない戦略をEAで回しても資金は減ります。スプレッド・手数料・スリッページなどの取引コストを必ず織り込み、E>0をバックテスト→フォワードで確認してから運用しましょう。

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